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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

"映画感想"カテゴリーの記事一覧

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  • デッドプール2

    すごいな~何がすごいって全編通してめちゃめちゃふざけてるのに、今回デップーは最初から最後まで「死にたい」の。正確にはヴァネッサが死んじゃったから、彼女がいる「壁の向こう側」に行きたい。X-men見習いになるのも、ラッセルを救おうとするのも、根っこには「そうすればヴァネッサの所に行ける=死」がある。めっちゃくちゃに暗い。めっちゃくちゃに暗いのにあんまりそう感じないくらいふざけていて不謹慎ですごーく散らかっている。楽しーい⤴題字が出てからのラスト10分くらいは声あげて笑ってしまった、「グリーンランタン」見なきゃな~

    景気よく腕だの頭だのが吹っ飛び、人体が上下で真っ二つになるような破壊描写が爽快。上記の通り暗いのでデップーは自暴自棄が炸裂しているし(それでもラッセルを危険に巻き込むまいと突き放そうとはしている)ミュータントの子どもを収容する施設の存在とか、そこで行われている虐待とか、大人になったラッセルが自分を虐待していた理事長の「悪しきものは私の手で癒す」て台詞を言いながらケーブルの家族を殺す描写とか色々しんどかった…ピタゴラスイッチドミノ姐さんが復讐を果たしてくれるのがわずかながら慰め…姐さんの動き全部面白かったね…「幸運」が能力のミュータントの名前が「ドミノ」ってなんかすげーな…彼女自身も何故自分がその場にいるのか分からない、牌が全部倒れてはじめて結果が分かる…

    ヴァネッサと家族を作ろうとして失ったデップーが、ヴァネッサの所に行こうとしてあがいているうちに別の「家族」を持つ話。ファミリームービーは得意じゃないんだけど、嫌悪感を抱かせないぎりぎりの塩梅だった。


    ラッセル役のジュリアン・デニソンくんすげーよかったな~あの子にはイケてる主人公のサポート役とか椅子のひととかナードなガジェ担とかじゃなくてぜひヒーローを」やって欲しいね。「Godzilla vs Kong」に出演が決まったそうなので楽しみにしている。

    監督:デビッド・リーチ
    脚本:レット・リース、ポール・ワーニック、ライアン・レイノルズ
    音楽:タイラー・ベイツ

    原題:Deadpool 2


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  • ゲティ家の身代金

    「エイリアン:コヴェナント」で、床に出来た血だまりに足を滑らせて転んだ拍子に銃を撃ってしまうとか、人間が火だるまになるとか、水に浮いた生首とか、同じギャグを2シーン流すってのがあったんだけどこれリドスコの中で流行ってるのかな?今作でも「人質に顔を見られまいとして覆面をかぶっていた誘拐犯が気のゆるみからうっかり素顔をさらしてしまう」ギャグが2回あって笑ってしまった。緊張感を煽る虫の声の演出もあいまってうっとりした。

    ケヴィン・スペイシーの降板からさっさと撮りなおすフットワークの軽さとクソ意地を感じるし、実際物質主義の怪物みたいなクリストファー・プラマーはとても良かった穏やかな笑顔なのに目が全然笑ってない感じ、孫を確かに愛しているけどその愛は常人には理解しずらいし彼も常人と相いれない感じ。彼がゲイルに「何を企んでいる?」「よく分からないが騙されている気がする」って言うシーンは可笑しくて痛快なんだけどちょっとぞっとするものがあったな…このひと子を思う親の気持ちがイマイチ想像つかないんだ…

    孤独に戦う苛烈なミシェル・ウィリアムズ(美術館のシーンの残酷なこと!美しいでしょうたった15ドルですよ)の熱演、美しい青年チャーリー・プラマーもとても良かったけど見終わった後チンクアンタ…てつぶやいてしまうこと請け合いロマン・デュリスさん!「最初と最後で構図は同じだけどキャラクターの心情は全く変化している」みたいなのだいすきなんだけど、最初の握手と最後の握手で描かれるチンクアンタとポールの間にあった「何か」の描写良かった…誘拐犯と被害者の間にあったものを美化して語ってはいけないんだけどいけないんだけど、こいつ死なないで欲しいな、と思ってしまう悪役(?)が人生には必要じゃん…ポールの背を見送った時チンクアンタは何を思い、連れ戻されてきた姿を見てどう思っただろう…全力で行間を読もうとしてしまう…

    誰でも金を欲しがり、なんにでも、それがたとえ愛する者の命であっても値段がつく世界のありようの恐ろしさ、そこに君臨する皇帝と戦った母親(と誘拐犯)の物語。滅び去った帝国ローマが舞台なのは事実とは言え出来すぎている。関係各位にはお蔵入りにしないでくれてありがとうの気持ち。

    監督:リドリー・スコット
    脚本:デビッド・スカルパ
    音楽:ダニエル・ペンバートン

    原題:All the Money in the World


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  • ピーターラビット

    でもこれはそーゆー映画じゃねえから!て冒頭で自ら言い切る親切。

    今度は戦争だ!

    ピーターのお父さんがパイにされるシーンや、人間vs動物のガチンコ殺し合い描写(アレルギー物質の投与とかあいつらマジで殺しにかかってきてる)の徹底ぶりが大変よろしい。
    惜しむらくはピーターとトーマスが争いを過熱させた動機であるお隣さんビアがまったく魅力的に感じなかったこと。隣人の畑への食害被害を知っていながら「ここはもともと彼らの土地、ウサギはかわいくて無垢」と見てみぬ振り、恋に夢中になって雨宿りしようとするピーター達に気づかず、自分の絵にいたずらされたと思えばなんてひどい子なの!と締め出す。こ、こいつ…マクレガーさんの畑はウサギに荒らされてもいいけど自分の描いた絵ダメにされたら怒るのかよ…お前をミートパイにしてやろうか…
    田舎に住むものとしては害獣による食害被害に胸を痛める一方でなんでこの女にピーターもトーマスも一生懸命になっているのかよく分からなかったよ…いつもこ、このクソアマ…みたいな役を全力投球してくれるローズ・バーン…

    ドーナル・グリーソンさんすごく頑張った…神経質で嫌な奴かと思いきや実はけっしてそうではないいや確かにめっちゃ変わってるけど…!て微妙なラインを好演。橋の上でベンジャミンの入った袋を見るあのためらいや、子どもや彼にはピーターの声が聞こえるあたりお里が知れる。「宇宙飛行士を目指す少女はこの角度に気づくぞ」って台詞の「今」っぽさよ。

    監督:ウィル・グラック
    脚本:ロブ・ライバー、ウィル・グラック
    音楽:ドミニク・ルイス

    原題:Peter Rabbit


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  • ランペイジ 巨獣大乱闘

    ロックさまは「ロックさま」とゆージャンルになりつつあるのか…結束バンドを引きちぎり、施錠されたドアを蹴り破る、あまつさえ銃で撃たれてどてっ腹に穴開いてんのにぴんぴんしてて「死んだんじゃなかったの?」て思わず訊いたヒロインに「致命傷じゃなかった」って答える。

    はい皆さんご一緒に、「致命傷じゃなかった」

    すげーなそんなことってあるかよ!でもロックさまだからな!とゆー説得力(?)すげーなー。トム・クルーズとかだと銃撃戦になっても弾の方が避けていくけど(個人の感想です)ロックさまは弾が当たっても致命傷じゃないから大丈夫なのだ。ゴイスー。

    動物が巨大化して街を人を襲いまくる映画をわたしが嫌いになれるわけないなってなもんで大変楽しかった。予告の段階ではキバ増しましワニさんが気になってたんだけど、本編を見たら巨大狼ちゃんが予想をはるかに超えて良かった。体長9mの巨躯がジャーンプ!かーらーの飛膜で滑空!は思わず歓声を上げたくなるほどのかっこよさ。尻尾を振って針を飛ばす遠距離攻撃もできる間合いの自在っぷり。あの子vsジョー・マンガニエロさんのシーンもっと見たかったな~とてもよかった。大きくかっぴらいた猛獣の口の中をカメラで正面からとらえる映像の尊いことよ。

    けれどこの巨大動物たちの画がかっこよくキマればキマるほど死んでしまった時の悲しみもひとしおだった…今作は人間がそれぞれひどい死に方をするのでヤバイwwヤバイwwてキャッキャしながら見ていたんだけど動物も同じくらいひどい死に方するので監督あなたはわたしの敵か味方か…!て釈然としない思いが残った。「カリフォルニア・ダウン」の冒頭で切り立った山道を運転中にもかかわらずバッグからペットボトルを取り出して飲んだりスマホをいじったりする女子で見ているこっちをハラハラさせた監督なのでたぶんこの悪趣味さはわざとではないのかな…いい趣味していやがるぜ…ワイデン弟を逃がしてやる時のラッセル(ジェフリー・ディーン・モーガン/エロいおっさん)とかめちゃめちゃいい笑顔だったじゃねえか…悪役の死をエンタメとして描くの最近見なかった気がしてちょっとびっくりしたぜ…


    イケメソアルビノゴリラジョージ役のジェイソン・ライルズさんは「Godzilla: King of the Monsters」でキングギドラの声役が決まっているそうで、アンディ・サーキスみたいにその道のひと!になっていくのかな~と楽しみ。ゴリラ二人のブロマンスもよいものでした。

    監督:ブラッド・ペイトン
    脚本:ライアン・イングル、カールトン・キューズ、ライアン・J・コンダル、アダム・スティキエル
    音楽:アンドリュー・ロッキングトン

    原題:Rampage


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  • しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

    カッとなって女に手をあげるが後で自己嫌悪に陥る男と、そんな男を「私が決めることじゃないわ彼がボスだから」とか言いながら全部自分の思う通りになるよう誘導する女、てゆーき、旧時代の男女~!孤児院で育った学のない武骨で不器用な男エヴェレット(イーサン・ホーク)、そんな男に虐げられているかと思いきや最後には我を通しているモード(サリー・ホーキンスさん)二人ともとても良かった。サリー・ホーキンスさん優しくて穏やかだけど搾取されてばかりじゃない、地に足ついてしたたかな一面もある役似合うな~

    モードが最初に壁に描いた鳥をエヴェレットが咎めなかったところから二人の愛がゆっくりはじまって、一緒に過ごした年月のだけ家中に、カードに、板に増えていく。あの家であのあとひとりで暮らすの耐えられないんじゃないだろうか…どこもかしこもモードの面影がある(扉を閉じたら真っ暗になったのすごく印象的だった)
    自分が死んだらこのひとひとりぼっちになっちゃうなと思って「また犬を飼ったら?」ってまだ生きてるのにわりと遺言調でささやく伴侶の姿とか、具合の悪いいきものが家のなかにいるあの不安な感じとか、愛の良いところと厄介なところをいっぺんに見てしまう映画だった。

    エヴェレットがリウマチのモードを足の上に乗せてぴったり抱き合ってくるくる回るダンスシーンがとても良かった…好き…



    監督:アシュリング・ウォルシュ
    脚本:シェリー・ホワイト
    音楽:マイケル・ティミンズ

    原題:Maudie


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  • ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

    ジョー・ライトの仕事だな~真上からの視点、贅沢な空間取り、かと思えばうるさいくらいの接写。秒針、太った老人の息づかい、足音、肘掛けを叩く指の音、マッチケースを打つ音、そしてタイプライター。この映画はすこしも黙っていない。

    国民感情なんて風が吹く度に翻る旗のようなものだから重きを置くのは危険が危ないと思うんだけど、この映画のチャーチルはあくまで「鼓舞する」ための武器として使用しているのでうんよし…てなった。市井の人々の意見に勇気づけられて決意も新たに頑張る!ではなく下院を扇動するための材料に、戦争内閣をまとめるための盾に、議会を制圧するための武器に、どんどん大きくしていく。口で稼ぐは政治家の本分。強弁家の本領発揮。ファッキンファシストと和平交渉なんかしてられるか!意地も張れぬ反映などこちらから願い下げだ!てゆークソ意地っぷりすごくイギリスを感じる。

    さあ今日はどの私になろうか、とその日の帽子を選ぶ男。パン屋に並んだことも、地下鉄に乗ったこともない、「国民目線」の無い政治家。そんなチャーチルの一番身近な庶民として、裏ピースの意味を教えてくれて、戦争はどうなるのか、自分達は今どこにいるのかを問うてくれるレイトン嬢(リリー・ジェームズ)「英国王のスピーチ」のローグのように王さまの指揮者まではいかなかったのちょっと残念、でもナイスアシスト。全然「よい王さま」っぽくないベン・メンデルソーン(偏見)、愛と忍耐の哀しさと美しさを体現するクリスティン・スコット・トーマスさんも良き。ゲイリー・オールドマンはもう本人の面影を探すのが物語が進むにつれ難しくなっていく、どアップで映しても肌の質感まで本物っぽいすごいメイクだ…

    Darkest hour って原題がな~真っ黒な画面の中チャーチルがいるエレベーターとかトイレとかがぽつんと四角く浮かんでるのおもしろかった、今ここで頼りなく光ってる、これが消えたら終わり、この男が折れたら終わりだと言わんばかり。まだ暗い寝室にマッチの炎が灯る、窓から朝日がさす、スポットライトのように議会に差し込む光り、演説中の赤いランプなど、「光」が印象的な画が多かった。暗黒の時代を照らす「勝利」

    ダイナモ作戦の画がグッとくるんだけど We shall never surrender!でトミー(ダンケルク)の顔がちらついてしまい素直に歓声をあげることが出来なかった…これダンケルクと同時期に見比べたかったな…政治家と兵士の戦場は違う、それは当然なんだけど、政治家は戦場で死んでも命までは失わないが、兵士の死はそうではない…

    ところでチャーチルを辞任させるために奴が和平交渉に応じるつもりはないと発言したことを文書にして記録しておかなければ、て台詞しみじみそうだよなって思ったし、その文書改ざんされるなんて普通は思わないですよねって思考が別の道に入りそうになった…

    監督:ジョー・ライト
    脚本:アンソニー・マッカーテン
    音楽:ダリオ・マリアネッリ

    原題:Darkest hour


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  • ジェーン・ドゥの解剖
    猫が死んだからダメです(定例報告)

    導入がなんかもうホラー映画のお手本みたい、

    ・一家惨殺事件が起き、その家の地下、地中から少女の死体が掘り起こされました。この家族に何があって「彼女」がそれにどう関わったのか、をこれからお見せしますね

    ・「彼女」が運び込まれた、物語の舞台となる遺体安置所は地下にあり、L字型の廊下の角にはカーブミラーが取りつけられています。真夜中、あれにいるはずのない「誰か」の姿がうつってたら怖いですね?

    ・この施設では死者の足にベルをつけて安置しています。一昔前は患者が昏睡状態なのか本当に死んでいるのかの判断が難しかったためにはじまったしきたりを踏襲しているのです。もちろん死体は動きませんからこのベルが鳴るはずはありませんが、万が一音が聞こえてきたら怖いですね?

    ・ところでこの施設では猫を飼っています。猫は施設に運び込まれた「彼女」に対して威嚇するような音を出します。なんだか嫌な予感がしますね?

    …みたいな。もう大まかにこうなって、これとこれとこれは使いますよ、て序盤で見せて、くるぞ…くるぞ…来た…!と恐怖を煽る親切設計。親切すぎて来たな、よし(確認)みたいになってしまった感がある…

    土の中から掘り起こされた「彼女」と、遺体を解剖することによって隠された何かを発見しようとする主人公親子。隠し事がうまいひとから隠されたものを見つけ出そうとひたすらに第1、第2、第3の段階を進めていく地道さが好感。死体に慣れているせいか泡食って悲鳴をあげたりもせず慎重な姿勢笑った冷静~

    力なく横たわりうすく口を開けた姿は痛ましい被害者に、顎を下げ口を結んだ姿は怒れる復讐者に見える「彼女」の造形がとても良い。ものすごく怖いと評判だったのでだいぶ肩透かしだったけど、丁寧で地道な良い話だった。

    監督:アンドレ・ウーブレダル
    脚本:イアン・ゴールドバーグ、リチャード・ナイン
    音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ

    原題:The Autopsy of Jane Doe


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  • 名探偵コナン から紅の恋歌

    蘭ねーちゃん「でも知らなかったよ和葉ちゃんがカルタ部だったなんて」

    わたし「ほんとだよ」

    さあやってまいりました「ちはやふる」のヒットにあやかって急きょ和葉ちゃんが合気道部とかけもちでカルタ部にも所属しておりしかも幽霊部員なのにカルタ大会で決勝まで勝ち残るくらいめっちゃ強いとゆーすごい設定でお送りする劇場版名探偵コナン。阿笠博士のスゴすぎる発明品を駆使したドを越えるアクションとあっさりめ推理、週刊少年サンデー色あふるるツンデレ幼なじみ恋愛模様も健在です。序盤こそ、あまりに勢いのある展開にマジかよ!と観客が思ったところでコナンくんもマジかよ!と言ってくれ、こいつ何言ってんだ!?て思ったところで眼鏡の女子があんた何言うてんの?て言ってくれる親切設計でしたが、マジかよ!ポイントが少し多すぎたため中盤以降はユーザーサポート(ツッコミ)がちょっと追いつかない状況となり少々残念でした…

    でもまあいいんだ服部平次と和葉ちゃんがかわいかったから(雑)
    (でもシリーズものの醍醐味ってキャラクターだと思うし)

    カルタ大会本番こそ、アクション映画みたいな線で描いて欲しかったけどさらっとダイジェストみたいに流れてしまったのでそこは残念。

    監督:静野孔文
    脚本:大倉崇裕
    音楽:大野克夫


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  • レディ・プレイヤー1


    Ready? Player 1 \Yeah!/

    底の浅いライトなオタクなので、わーあのキャラが!このネタもこのオマージュも!みたいな興奮はあまりなかったんだけど、メカゴジラの出現とともにゴジラのメインテーマが流れた時は胸にこみあげてくるものがあった…最先端の映像体験、とびっきりの未来技術の話なのに、「なつかしい」という感情が持つ強力な力を奮って我々に訴えかけてくる。このお話はほとんど「過去」でできている不思議。

    便利すぎるテクノロジーは危険が危ない、みたいな話を撮ってきたひととゆー印象のあるスピルバーグが「何でもできる夢のVR映像体験」の映画を肯定的に撮るなんてどんな心境の変化だろうと思ったけど、最終的には「現実に勝るものはない」というあっはい…スンみたいな結論に至ってて笑ったテクノロジーに寄り添う姿勢を見せるかと思いきやスピルバーグはスピルバーグだった。

    そして巨匠は決して各種サブカルのひとではなく、ゲームのひとでは決してなく、映画のひとだな~とつくづく感じた。世界中の人が同じ中継影像を一心に見つめ、そこに映っている主人公と同じポーズをとり、歯を食いしばって早く!早く!と祈るように口にする姿。あれこそ映像の持つ力で、映画館で映画を見ている時の我々の姿で、監督が観客に望む姿なのではないかな~なんてことないシーンなんだけどここが一番ぐっときた。

    ところでサイモン・ペッグ!人類の親友!僕の私の俺のあたしの青春時代を共に過ごしたい相手第1位!どんなにレベルをあげてもコインを貯めても得ることができない稀有な存在!ばらのつぼみ!めっちゃヒロインだった…夢のように優しい声のマーク・ライランスさんとぺぐさんが話しているシーンのなんと耳に心地よいこと。モローとハリデーの蜜月から愁嘆場まで全部くれよ~

    技術は進歩しどこにでも行けるし何にでもなれるし何もかも手に入るのに、ひとはどこまでも過去に戻りたがり、現実で手に入る幸福の質は変化しない。友人と語らいおいしいご飯を食べる。あのサービスの名前が「オアシス」なのはとても残酷でいいな~過酷な砂漠(現実)を渡る旅人の喉をひととき潤す緑地、近づいたら近づいただけ離れていく蜃気楼、幻。夢のように遠くにあって、見えるけど手に入らない。夢中になってゲームで遊んでいる子どもの頃の自分を眺めるのが好きだといったハリデー。オアシスを離れ現実に居場所と喜びを見出したウェイド。過去を眺められるだけ進歩した技術から我々はやがて離れ現実へ帰っていく。ちょっとさみしい結末だった。

    監督:スティーブン・スピルバーグ
    脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
    音楽:アラン・シルベストリ

    原題:Ready Player One


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  • アベンジャーズ インフィニティ・ウォー

    う~ん良かった。後半を見ないと何とも言えないけど、阿呆みたいに多い登場人物と広がりまくったユニバースをぎゅうぎゅう詰め感なくまとめてサクサク進んでいくテンポの良さ、パニック映画・ホラー映画みたいな「なんかやべーぞ」演出なカメラ、ここぞとゆーシーンでぐっと静かになる音楽。作りはとても良かったのじゃないかな~タイカ・ワイティティ監督とジェームズ・ガン監督の色をどうするんだろうと思ったけど、ちゃんと反映されていて安心した。

    以下ネタバレだよ~珍しく配慮してみたよ~



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  • パシフィック・リム アップライジング

    うーわなんだそれ下手くそかよ!の連続!単純につまんなくってびっくりしたし、前作の積立貯金を崩しまくってくるのにもびっくり。でもこんな駄作!許すまじ!て感じではなく、マジかよww下手くそかwwwて半笑いになるような感じ。まあ監督映画撮るのこれが初めてなんでしょ?はじめっからうまくできないよね、みたいな…(でも「はじめからうまくできないよね」なんてプロフェッショナルに対して侮辱もいいとこだよな)

    洗礼されたイェーガー、魅力的な登場人物、剣・ミサイル・モーニングスター・鞭と多様な武器、怪獣が操縦する謎のイェーガーという設定、どれをとってもアガる要素てんこ盛りなのに全部とっ散らかっててじっくり描き切れていない(キャラあんないる?)し、ポーズや攻撃の直後に転んだり反撃くらったりして「キメ」を堪能できない。すごーくもったいない。ニュートの設定なんかもうすべてのオタクの夢かと思うほど燃えるやつなのにカメラ切り替わっても意味のあることを言うでもなく憎まれ口たたくだけ。監督はきっとフェチのひとじゃないんだな~

    夜/海上戦だった前作から昼/地上戦になって、いいところもたくさんあったんだけどそれがすぐ覆っちゃう勿体なさ。けれど怒りもわかないほどの凡庸さ。なんかもうにやにやしてしまう。全然憎めないんだけど、このテイストで行くなら続編いらないな~

    監督:スティーブン・S・デナイト
    脚本:エミリー・カーマイケル、スティーブン・S・デナイト、T・S・ノーリン、キラ・スナイダー
    音楽:ローン・バルフェ

    原題:Pacific Rim: Uprising


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  • ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

    か、活版印刷~!輪転機がまわり新聞が印刷され束ねられ早朝のうす青い街に配達されるのを見て泣きそうになる日が来るとは思わなかったぜ…額にいれて飾っておきたいほど美しく頼もしい「勇敢」の姿よ。

    ベトナム戦争を勝機は無いと知りながらその分析や事実を伏せて続行した、政府の「隠匿」「嘘」を暴く為に奔走する記者たちの話なんだけど、その中心で圧力に屈せず新聞に報道を載せるか・載せないかの決断を迫られるケイ(メリル・ストリープ)の姿が暗闇にぼんやりともるろうそくの灯りのよう。会食中に政治の話がはじまれば食卓には男たちだけが残り女たちは一斉に引っ込むサロンや、たくさんの女たちが控えている階段を登ると扉の向こうには男ばかりがひしめいている議会室は、60年代において如何に女性の社会的立場が弱かったか、性別によって「分断」されていたかを描く。そんな時代に、新聞社の社長として会議に出席しても発言するのを委縮してしまうようなケイが、背中を押して欲しい相手忠実なる騎士"ガラハット"フリッツに僕ならやめとくって言われても「やろう」と言ってガチャンと電話切ってくれちゃう姿は、やるって言って、やるって言って!て記者たちと観客の祈りを届けてくれる。淡くゴールドに輝く涙目の、震え声の勇敢なひと。判決を受けた後の彼女が、女たちの誇らしげなまなざしを受けて裁判所の階段を下りてくるシーンはとても爽快でこっちまで晴れやかな気持ちになった。

    役者さんも演出もカメラさんもみんな良かった、主演のふたりはもちろん無言で人数確認して数種類のサンドイッチ作ってくれちゃうサラ・ポールソンさんのブラッドリー夫人、夫に「女」「ケイ」を翻訳してくれる。スピルバーグご飯食べるシーン削らないね。レモネード25セントから50セントにしろのシーンで「インフレだ!」て記者たちが叫ぶの笑った。

    早歩きのニューヨークタイムズの青年、焦って小銭をがちゃがちゃするワシントンポストの記者、慌ただしく行き交う登場人物、とにかく皆急いでいて、「今!」「今!」というメッセージが伝わってくる。映画製作は通常なら4年かかるがこの作品は1年で作った、4年後トランプ政権は何をしているか分からない、というスピルバーグの言葉の通り、「今食い止めないと泥沼にはまる!(もうはまっている!)」という危機感を感じる。公文書が「偽造」「改ざん」されている民主主義国家としてだいぶやべーことになってる国としては全然他人ごとではない…報道は国民のものであるとこの国の裁判所ははたして言ってくれるだろうか…

    監督:スティーブン・スピルバーグ
    脚本:リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー
    撮影:ヤヌス・カミンスキー
    音楽:ジョン・ウィリアムズ

    原題:The Post


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  • デトロイト

    何かが起こる、何か酷いことが、とハラハラする嫌な予感で満ちた緊張感たるや。けれどわたしはミシガン州警察が「デトロイト市警は常軌を逸している」「証拠もないのにホテルの宿泊客(黒人と露出の激しい服を着た若い女)を尋問している」「彼等は差別主義者だ」「黒人にも人権はある」まで分かっていて「人権問題に首を突っ込むのはごめんだ、この件は奴らに任せよう」とあの場から立ち去ってしまった段階でわりとバッキリ心が折れてしまい、以降何を見てもいちいち悲嘆に暮れていられなかった…格ゲーで死体蹴り食らっている気分…ただただ「執拗」だと感じていた登場人物の心理にフォーカスするようにぎゅわっと寄るカメラ(「ダーク・プレイス」のカメラマンさんだったバリー・アクロイドさん)、見込み捜査よりもタチの悪い、自分たちの描いた画の通りの証言と証拠の提供を求める警官たち、これはいつ終わるんだ?なんと答えれば正解なのだ?と尽きない疑問を抱えたまま被疑者と共に廊下に立たされる。憎悪と権力と銃を持った人間がそれを喜んで行使するおぞましさ、ターゲットになってしまった者がどうされるのか、そして生き残った者がどうするのかが「執拗」なカメラワークで描かれる。長いよビグロー姐さん…


    歌手ラリーはたったひとりでステージに立ち誰もいない場所に向いて歌っているのが印象的。観客が全員避難した後の劇場で、壁に手をついて神に祈りながら、そして教会の聖歌隊として。神さまが拍手してくれる日は来るだろうか。

    監督:キャスリン・ビグロー
    脚本:マーク・ボール
    音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード

    原題:Detroit


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  • ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル

    「今どきボードゲームなんか誰もやらねえよ」とゆーカスタマーレビューにお応えし、あのジュマンジが一夜にしてビデオゲームにジョブチェンジ!

    その意気や良し!

    時代のニーズを読み解き生き残るために変化・適応化していくジュマンジの姿勢、見習っていきたい(見習うとは言ってない)

    現代の一軒家にジャングルの生物がやって来た!な地獄絵図ぶりはだいぶナリをひそめ、ビデオゲーム化により全体的な難易度が格段に下がっている印象。ゲームオタクがいるので概要の把握が早く、NPCによるシステム説明やヒントの提示があり、つなぎのムービーが入り、ライフ制度の導入により上限はあれど死んでもやり直しがきく。何よりクリアすることによりゲーム内で経た時間がリセットされる。これは大きい。アレックスの件はとてもホッとしたけど同時に

    ゲームマスターはアラン・パリッシュ(ロビン・ウィリアムズ)に謝れ!

    とも思った。それ出来るんなら最初からやってあげてくれよ!

    「自分はこーゆー奴」と思っている高校生4人が、それぞれ自分と正反対のアバターを介して、自分のキャラじゃないこと、自分には出来ないと思っていたこと、必要もないと思っていたことを体験し、「私/俺/僕ってこんな一面があるんだ」「あんたイケてんじゃん!」「君は神ってるよ!」とどんどん相互理解を深め、自分で無意識に決めていた枠を超えていく姿が青春映画そのもので見てて元気になる。そいつNPCだから何話しても無駄だ!とか音楽切り替わったから今やべー奴だ!とかこのイベントクリアできるのは誰のスキルだ!?とか、ゲーマーならわくわくしてしまう要素もてんこ盛り。ジュマンジといえば動物と思っていたので、その要素が少なかった気がしてちょっとだけ残念だけど、楽しくて丁寧で優しい話だった。女子高生の心を持つジャック・ブラックが100点満点。

    監督:ジェイク・カスダン
    脚本:クリス・マッケーナ、エリック・ソマーズ、スコット・ローゼンバーグ、ジェフ・ピンクナー
    音楽:ヘンリー・ジャックマン

    原題:Jumanji Welcome to the Jungle


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  • ボス・ベイビー

    なんというラブ・ストーリー!ここで言う「愛」はローマンティックなやつじゃなくて、ひとがひとを慈しみ育む方のやーつです。「愛を知らない」という者に「これが愛ですよ、よければあなたに差し上げます」と示す、押しつけがましくなくて誠実で、底抜けにやさしいストーリーに感嘆。

    空想癖のある7歳の少年ティムの目線で物語が進行するので、自宅や近所がジャングルだったり、海底だったり、牢獄だったりと容易に極彩色な夢の世界に変化してしまうのがとても目に楽しいし身に覚えがある…。ティム目線での「赤ちゃんが家にいる」光景が現実のそれよりはるかに「エイリアン来襲!」っぽくなっているのとか、デフォルメの加減がお見事。ちびっこは多分単純に見ていてわくわくだと思うし、一緒に見ている大人は夜泣きにテンパる描写とか、リビング~ダイニングがあっという間に赤ちゃんのもので埋め尽くされていくのとか(ここすごいリアルだった…)、ホームアローンとかインディジョーンズとかメリーポピンズとかのパロディに良くも悪くも心を動かされるのじゃないかな~

    寝る前に両親へ絵本の読み聞かせ、抱擁、お休みの歌のフルセットをねだっていたような甘えん坊の少年が、今まで自分が独占していた「愛」を、君に全部あげるよと言えるところまで成長するのはとても美しい。産まれる前からあんなにしっかりと愛されていることが分っているならそりゃもう安心だし喜びで胸がいっぱいだろうともよ。色とりどりのビーズのような愛が降り注ぎ子どもを安心させる愛の歌が唄われる。頼もしくて安心する話だった。

    ところでこの映画でまさかスーパーヒーロー着地を見るとは思わなかったのと、○○なエルヴィス6人くらいの声優を宮地真守がひとりで請け負ってて「そ-ゆーの山寺宏一の専売特許じゃねんだ…」てなったぞ~

    ※「今度はちゃんと育てる」って台詞は、フランシスよりも兄への救済なように感じた。たいていの親は誤った子育てを正すチャンスを持てない

    ===

    同時上映の「ビルビー」も良かった~思わず触りたくなる毛並みの見事なこと!自分ひとり生き残るのに必死なのにたまたま見つけた赤子のためにせわしい呼吸に上下する胸をおさえて高所からジャンプする、こちらも「愛こそすべて」なお話だった。

    監督:トム・マクグラス
    脚本:マイケル・マッカラーズ
    音楽:スティーブ・マッツァーロ、ハンス・ジマー

    原題:The Boss Baby


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