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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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ダンケルク

ラストカットが疑問を投げかける… we shall never surrender とチャーチルは言うが、やっと目的を果たしたトミーの表情は不安げだ。これで終わりではないのか。これで終わりではないのか…

溺れ・焼け・撃たれ・あらゆる悲惨な死が描かれ、逃げ帰っただけだと卑下する兵士に上出来だと返す国民が描かれ、絶望的な状況でも歓声をあげる人々が描かれる。圧倒的臨場感で戦場に放り込まれて悲惨と労りの火を見た…ハンス・ジマーちょううるさい、ちょうこちらの精神を追い込んでくる…

真実を告げたらこのひとは気に病むだろうと、とっさに大丈夫だと答える美しさ。しょうがないけど間違っている、と指摘するまっとうさ。水筒を分け与える、扉を開く、ロープを投げる、船に引き上げる、エトセトラ。皆が皆ただ生き残りたいと必死なだけの状況下でああも「正しい」振る舞いをするキャラクターが胸を打つ。ピーター役のトム・グリン=カーニーくん、ギブソン役のアナイリン・バーナードくん、ドーソンさん役のマーク・ライランスさん。

ノーランの映画は時間がのびたり縮んだり空間や次元が増えたりするけど、今回は浜辺は一週間、海は一日、空は一時間のパートごと組み合わせだよって最初に説明があるのでどうした優しいじゃん…て思った(思っただけである)そうかここがここに繋がる、て走りながら道を覚えるみたいだった。よそ見を許さない。

ダンケルクの戦いで運命を左右されたすべての人にこの映画を捧げる、と献辞が出る。奇跡の脱出劇と美化せず、おぞましい戦争の歴史と忌避せず、観客に極力リアルな戦場を体験させ「何か」を考えさせようとする。このバランス。あなたすげえなノーラン…

ところで帰還の船に乗れば温かい紅茶とパン、毛布が振る舞われ労りの言葉がかけられる描写に日本人はショックを受けるのだった…

監督、脚本:クリストファー・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー

原題:Dunkirk


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