忍者ブログ

忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件

電気のスイッチをパチン、とつけるように生活や恋や夢や希望が描かれ、またパチン、と消すように焦燥や不安やままならない現実や不条理な社会が描かれる。
年相応に屈託なく過ごす中学生なのに、夜間部に通う子どもたちは闇や暴力ととても距離が近い。昼はいつまでも続かず、懐中電灯が秘密に光をあて、ろうそくの火は頼りなく吹き消され、不安定な室内灯は頻繁に停電し、血なまぐさい夜が長く続く。静かなカメラワークで61年夏の台湾の昼と夜を執拗に見つめさせる。4時間近い映画なのに全然気が散らなくって驚いたどーゆー魔法だこれ?

夢みたいに印象的なカットが多く、一寸先は闇がすぎる夜の描写が恐ろしいんだけど、見終わってから振り返ると菩薩さまみたいに清らかな顔をしたヒロインと、張震少年の幼い笑顔が浮かんでくる。ブラスバンド合奏に負けないくらい声を張り上げて僕は君の味方だ!と叫ぶ張震少年はたしかに頼もしい灯りそのものだったのに、夜から抜け出すことは出来なかった。置き去りにされた懐中電灯が悲しい。誰も彼もみずからが望んだように生きられなかった。

監督:エドワード・ヤン
脚本:エドワード・ヤン、ヤン・ホンヤー、ヤン・シュンチン、ライ・ミンタン
音楽:チャン・ホンダ

原題:牯嶺街少年殺人事件 A Brighter Summer Day


にほんブログ村 映画ブログへ
PR

コメント