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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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ドリーム

やっかいごとを起こさないで、あなたが我慢すれば済む話でしょう?と言う人々に、うるせえばーか!と言い返すような気概を感じる…

この子は天才だ、いい学校に入れてあげなきゃ、奨学金も出しておげなきゃ!てゆー先生や、君は臨時雇いの計算係だけじゃ勿体ないよ、技術者になるべきだ!てゆー同僚さんの存在の心強いこと。まだ人種・性差別色濃い60年代、普遍的に差別も偏見も存在し(白人・男性はそれが差別だとも思ってない)社会は不条理で、君たちの名前は必要ないと「黒人女性」のワクに埋もれさせようとしてくるけれど、彼女たちを後押しし、重用し、能力を発揮する手助けをしてくれたひとたち。行く手を阻むことだけしないでいてくれたらいいのだ、余計な邪魔さえなければ、彼女たちはどんどん結果をだすのだから。

不公平な扱いにもう、心底、うんざりしているだろうに、腐らずお仕事に身を捧げるキャサリン、ドロシー、メアリーのかっこいいこと!大声で怒鳴り散らかして、でもすぐ息を整えて「だから、お許しください」とフォローするキャサリン…いたいたしいほどに理性的…タラジ・P・ヘイソンさんの熱演…理詰めで、実力で、先を読む力で、着実にゴールに向かう姿はかっこよくて頼もしい。色とりどりのスカートの裾を揺らして、ヒールコツコツと音立てて、彼女たちが廊下を闊歩するの素敵だった~60年代のお洋服もかわいかった~裾がふわりと広がるスカート、ワンピース、スカーフ。鮮やかな色彩が黒い肌に映える。

ほんと実利のことしか考えてなさそうなケビン・コスナー(このひとはなんか優秀な部下を獲得する係みたいなイメージがつきつつある)保守的な白人女性キルスティン・ダンストのやなやつ感の塩梅もよかった。キルスティンの役は「白人」だけど「女性」でもあるから、キャサリンたちとは比較にならずとも差別はされてたんじゃないかと思うんだよな~彼女も他者に歪められて、同じことを自分より弱いひとに返した。

爆発しそうな怒りを、理性的に顔の下に隠して、眼鏡とシャーペンと計算機で宇宙まで行った彼女たちの話。見ると元気になる。きれいに描きすぎてる気もするんだけど、きれいに、まっすぐ、清々しく彼女たちを描くことで「今」にケンカ売ってる気がする。穏やかな義憤の火が宿る。

監督:セオドア・メルフィ
脚本:アリソン・シュローダー、セオドア・メルフィ
音楽:ハンス・ジマー、ファレル・ウィリアムス、ベンジャミン・ウォルフィッシュ

原題:Hidden Figures


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