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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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お嬢さん

なんてさわやかなのだろう、蝶の羽音のように笑いさざめきながらどこまでも駆けて行け、君たちの征く手を遮るものは破壊してやれ!て走り去る二人の後ろ姿に大きく手を振って見送りたくなるような、気持ちのいいお話だった。抑圧と暴力を強いる男たちには出来ないやり方で愛を交わす秀子とスッキの美しい姿。無理強いから快楽は生まれないと籠の鳥でも知っている。

好意の描き方がとても好みでさすが安心と信頼のパク・チャヌク…!私のお乳が出たらあなたに飲ませてあげるのに、なんて愛情表明として究極じゃない?奥歯を削ってやるために秀子のくちに親指入れるスッキ、その間スッキの肘ずっと触ってる秀子、唾液を飲み込む音が聞こえるほどの静寂、吐息、あえぐ声、雄弁に恋を語る視線。ものすごく下品で下劣な環境にあるのに、あのふたりのやり取りは蜜の香りがしそうなほど甘やか。

私の飴、まがいものの青玉、手がけてきたものの中でいっとうきれいな作品だと思っていた秀子が受けていた扱いを知ったときのスッキの怒りは計り知れないだろうなあ。叔父の本を、書斎を、朗読を、秀子を閉じ込める牢獄を破壊しつくしてくれる姿にこちらまで救われたような気分になった。段差に立ち止まるお嬢さんにトランクで足場を作ってくれて、屋敷から出るための道を作ってくれる救世主。あんなん胸を打たれるに決まってる。

あわれな秀子お嬢さま、あんなに窓に顔を押し付けて外を見ていらっしゃる…とか思っていたらとんでもなかった。高飛車な態度がとてもよくお似合いになるキム・ミニさん、愛らしく頼もしいキム・テリさん素敵だった。虐げられていた生き物が幸福をつかみ取る爽快。

監督:パク・チャヌク
脚本:チョン・ソギョン、パク・チャヌク
音楽:チョ・ヨンウク

原作:サラ・ウォーターズ「荊の城」

原題:Ah-ga-ssi


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