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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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シェイプ・オブ・ウォーター

猫が死んだからダメです(定例報告)
でもとても良かった、とても良かった、とても良かった~べらぼうにロマンチックな愛と時間の物語だった。くちのきけない人魚姫、片方の靴を残して境界を超えるシンデレラ、赤い靴、モンスターとお姫さま、あらゆるおとぎ話が持つ普遍性と同じものが語られる。愛と時間。水の形。我々の手をすり抜け、とどめておけない、けれど枯れることなく存在する強いもの。

人外スキーなので単純に『彼』のビジュアルがかわいすぎてもうそれだけで100点なんだけど仕草から鳴き声から何まで素晴らしかった中のひとダグ・ジョーンズさんありがとうございます…なまめかしくて美しい…てゆーか役者さんみんな良かった色づいた花のように緑から赤にほころぶサリー・ホーキンスさんの熱演(この手のヒロインにありがちな性的ファンタジーな文脈で語られないのよし…てなった)、優しくていたましいリチャード・ジェンキンスさん、いてくれるだけで安心させてくれるオクタビア・スペンサーさん、「美しいものを破壊するなんて」てゆーすごく胸を打つ愛を示してくれたマイケル・スタールバーグさん。
そしてマイケル・シャノン~この映画で一番ああ…てなったのはシャノン演じるストリックランドの「まともな男だといつまで証明し続ければいいんです?」だった…「人間」の理想とされる形が決まっていてそこから逸脱したものはまともだと扱われない世界の生きづらさ。神さまは自分の形を模して人間を作り、それは二本足の魚ではなく、女でも、黒人でもなく、白人男性だとする考え方。「まともな男は失敗しない」「お前はクズだ」と示され続けて、妻と子どもの声さえ癇に障って車に避難しちゃう姿とかそーゆー白人至上主義みたいなのの弊害のように感じた…しんどみが深い…冷酷で見ている相手に不快感をもたらす「完璧な悪役」なのに少し同情してしまう不具のあるバランス素晴らしい…

家具や靴用のブラシに至るまできちんと整えられたイライザのアパート、不気味なラボ、ふたりの愛の雨が降る映画館、タップにミュージカル、聞こえない声で唄われる愛の歌、目に映るもの耳に聞こえるもの全部わくわくした。ラボとかあそこだけファンタジーレベルが高い…ダンジョン感…

昔見た映画の半魚人とヒロインの恋を成就させてあげたい、とゆー監督の思いから生まれたらしい美しい物語。グリーン(ティール)に統一された世界に咲く赤は愛の色、友だちを助け、他者をいつくしみ、美しいものに心を砕く、様々な愛の形。ごくごくと水を飲むように胸が満ちる。とても良かった。

監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ、バネッサ・テイラー
音楽:アレクサンドル・デスプラ
撮影:ダン・ローストセン

原題:The Shape of Water


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