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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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ブラックパンサー

てっきり「ブラックパンサー」というヒーローの話、ワカンダ国の王となったティ・チャラ陛下の話だと思っていたんだけど違った、「ワカンダという国」「ワカンダをふるさとに持つ人々」の話だった。故郷を愛する者、憎む者、国を思う人々の物語。ティ・チャラ陛下とその父親、キルモンガーとその父親の話を主軸に様々な立場のひとの戦いが描かれていて、予想していたような陛下出ずっぱりでアクション三昧なあれじゃなかった。

衣装、音楽、街並み、アフリカ~というかブラックカルチャーがふんだんに取り入れられ、けれどそこに相反せずヴィヴラニウムの恩恵である高度な科学技術が息づいている。先進的でありながら伝統を軽んじないワカンダの姿がまず面白い。挑戦の儀とかハーブ飲んで埋められるやつとか原始的に見えるものの横をリニアモーターカーが走ってるバランス。マサイ族がiPad使ってるの見たときみたいな、我々の想像力の一歩先いく素敵な現実の姿。

そーゆー「相反する」と思っちゃいがちなものが絶妙なバランスで混在するのが描かれる。国境警備は男戦士が多いが、王の近衛兵は女たちだし(お飾りじゃなくてちゃんと強い)、戦士のオコエとスパイのナキアは違う戦い方でワカンダを思う。王族でありながら中指たてちゃう技術担当シュリはとても現代的(シュリちゃんめっちゃかわいかった…なにあれめっちゃかわいい…)ワカンダの民だけど王に下らないエムバクの一族。
そしてアメリカで産まれ、父親からふるさとワカンダのおとぎ話を聞かされて育ったキルモンガー。ワカンダを守るために国中から隠された秘密の子。ここにいるのにどうして?と自分の存在やアイデンティティーを否定した祖国を彼が憎む姿は痛々しくて悲しかった…まずマイケル・B・ジョーダンさんの金縁眼鏡スタイル最高すぎて全然嫌いになれない…荒々しい死の商人なのに妙にノーブルで、小さな男の子を内包している…

抑圧され迫害される人々を見て、もう黙っていられないと立ち上がるひと。沈黙することは抑圧に加担することだという姿。ワカンダはずっと沈黙してきた、伝統という、良くも悪くも続いてきた習慣に従って。それは間違いだった、もうやめよう、私は壁を取り払い橋を築くというティチャラの宣言。すごく「今」を意識したメッセージだった。我々が相反しがちだと思ってしまうものが共存する世界を語る王。あなたは誰なのかという問いかけへの答え。爽快アクションを期待していたからわりともっさりしててびっくりしたけど、すごく娯楽作でもなく、かといって説教臭くもない、絶妙なバランスじゃないかなと思う。

ところでアンディ・サーキスすごい良かった…あの声…めっちゃ楽しそうだった…マーティン・フリーマンもシビルウォーのときからすると格段にかわいくなってたいやもともとかわいいけどあのシニカルな感じどこいったロス捜査官…シュリちゃんとアイドルユニット組んで欲しい…プリキュア…

監督:ライアン・クーグラー
脚本:ライアン・クーグラー、ジョー・ロバート・コール
音楽:ルドウィグ・ゴランソン

原題:Black Panther


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