忍者ブログ

忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

か、活版印刷~!輪転機がまわり新聞が印刷され束ねられ早朝のうす青い街に配達されるのを見て泣きそうになる日が来るとは思わなかったぜ…額にいれて飾っておきたいほど美しく頼もしい「勇敢」の姿よ。

ベトナム戦争を勝機は無いと知りながらその分析や事実を伏せて続行した、政府の「隠匿」「嘘」を暴く為に奔走する記者たちの話なんだけど、その中心で圧力に屈せず新聞に報道を載せるか・載せないかの決断を迫られるケイ(メリル・ストリープ)の姿が暗闇にぼんやりともるろうそくの灯りのよう。会食中に政治の話がはじまれば食卓には男たちだけが残り女たちは一斉に引っ込むサロンや、たくさんの女たちが控えている階段を登ると扉の向こうには男ばかりがひしめいている議会室は、60年代において如何に女性の社会的立場が弱かったか、性別によって「分断」されていたかを描く。そんな時代に、新聞社の社長として会議に出席しても発言するのを委縮してしまうようなケイが、背中を押して欲しい相手忠実なる騎士"ガラハット"フリッツに僕ならやめとくって言われても「やろう」と言ってガチャンと電話切ってくれちゃう姿は、やるって言って、やるって言って!て記者たちと観客の祈りを届けてくれる。淡くゴールドに輝く涙目の、震え声の勇敢なひと。判決を受けた後の彼女が、女たちの誇らしげなまなざしを受けて裁判所の階段を下りてくるシーンはとても爽快でこっちまで晴れやかな気持ちになった。

役者さんも演出もカメラさんもみんな良かった、主演のふたりはもちろん無言で人数確認して数種類のサンドイッチ作ってくれちゃうサラ・ポールソンさんのブラッドリー夫人、夫に「女」「ケイ」を翻訳してくれる。スピルバーグご飯食べるシーン削らないね。レモネード25セントから50セントにしろのシーンで「インフレだ!」て記者たちが叫ぶの笑った。

早歩きのニューヨークタイムズの青年、焦って小銭をがちゃがちゃするワシントンポストの記者、慌ただしく行き交う登場人物、とにかく皆急いでいて、「今!」「今!」というメッセージが伝わってくる。映画製作は通常なら4年かかるがこの作品は1年で作った、4年後トランプ政権は何をしているか分からない、というスピルバーグの言葉の通り、「今食い止めないと泥沼にはまる!(もうはまっている!)」という危機感を感じる。公文書が「偽造」「改ざん」されている民主主義国家としてだいぶやべーことになってる国としては全然他人ごとではない…報道は国民のものであるとこの国の裁判所ははたして言ってくれるだろうか…

監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ

原題:The Post


にほんブログ村 映画ブログへ
PR

コメント