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忘れることを前提に

観た映画メモ。ネタバレに配慮しないよ

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ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

ジョー・ライトの仕事だな~真上からの視点、贅沢な空間取り、かと思えばうるさいくらいの接写。秒針、太った老人の息づかい、足音、肘掛けを叩く指の音、マッチケースを打つ音、そしてタイプライター。この映画はすこしも黙っていない。

国民感情なんて風が吹く度に翻る旗のようなものだから重きを置くのは危険が危ないと思うんだけど、この映画のチャーチルはあくまで「鼓舞する」ための武器として使用しているのでうんよし…てなった。市井の人々の意見に勇気づけられて決意も新たに頑張る!ではなく下院を扇動するための材料に、戦争内閣をまとめるための盾に、議会を制圧するための武器に、どんどん大きくしていく。口で稼ぐは政治家の本分。強弁家の本領発揮。ファッキンファシストと和平交渉なんかしてられるか!意地も張れぬ反映などこちらから願い下げだ!てゆークソ意地っぷりすごくイギリスを感じる。

さあ今日はどの私になろうか、とその日の帽子を選ぶ男。パン屋に並んだことも、地下鉄に乗ったこともない、「国民目線」の無い政治家。そんなチャーチルの一番身近な庶民として、裏ピースの意味を教えてくれて、戦争はどうなるのか、自分達は今どこにいるのかを問うてくれるレイトン嬢(リリー・ジェームズ)「英国王のスピーチ」のローグのように王さまの指揮者まではいかなかったのちょっと残念、でもナイスアシスト。全然「よい王さま」っぽくないベン・メンデルソーン(偏見)、愛と忍耐の哀しさと美しさを体現するクリスティン・スコット・トーマスさんも良き。ゲイリー・オールドマンはもう本人の面影を探すのが物語が進むにつれ難しくなっていく、どアップで映しても肌の質感まで本物っぽいすごいメイクだ…

Darkest hour って原題がな~真っ黒な画面の中チャーチルがいるエレベーターとかトイレとかがぽつんと四角く浮かんでるのおもしろかった、今ここで頼りなく光ってる、これが消えたら終わり、この男が折れたら終わりだと言わんばかり。まだ暗い寝室にマッチの炎が灯る、窓から朝日がさす、スポットライトのように議会に差し込む光り、演説中の赤いランプなど、「光」が印象的な画が多かった。暗黒の時代を照らす「勝利」

ダイナモ作戦の画がグッとくるんだけど We shall never surrender!でトミー(ダンケルク)の顔がちらついてしまい素直に歓声をあげることが出来なかった…これダンケルクと同時期に見比べたかったな…政治家と兵士の戦場は違う、それは当然なんだけど、政治家は戦場で死んでも命までは失わないが、兵士の死はそうではない…

ところでチャーチルを辞任させるために奴が和平交渉に応じるつもりはないと発言したことを文書にして記録しておかなければ、て台詞しみじみそうだよなって思ったし、その文書改ざんされるなんて普通は思わないですよねって思考が別の道に入りそうになった…

監督:ジョー・ライト
脚本:アンソニー・マッカーテン
音楽:ダリオ・マリアネッリ

原題:Darkest hour


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